扇子の新作の体験談です
今日も又、我が家ではすっかりおなじみの母と叔母さんのロングトークが展開している。
にも関わらず世の中全体の波には今イチうまく乗れないらしく、揃ってアナログ人生を歩み続けている。
母と叔母さんの扇子に対する思いは立派なものだとは思う。
因みに、電話の向こうの叔母さんというのは母の双子の妹で、ともに50代前半の専業主婦、本来なら扇子のような高級品に関心を持つべきではない身分かも知れない。
さっきから夢中で扇子について語り合っている二人が手にしているのは固定電話の受話器。
お互いショッピングモールやデパートへ足を運んでは、随時新しい情報を入手し、こうして電話でこうかんしているらしいのだ。
まあこれは私独自の意見だが、この長電話を半年ばかり我慢すれば扇子の新作は買えるのではないかとも思う。
見たわよ、昨日デパートの扇子の売り場で、一番目につく所にディスプレイされてた。
これは今回の扇子に限った事ではなく、先週末は別のブランドの新作バッグや財布の話題で盛り上がっていた。
それに何と言っても、扇子の今年の新作は高過ぎ、ただですらも家計が苦しいこの時期に手が出さる訳ないじゃない。
と母が言う、どうやらそれなりに今の状況と自分の身分は弁えているらしい。
まあ、電話でしゃべっている位、安いもの、扇子を買われる事を思えばましだと父は笑いながらさっき散歩に出て行った。
パソコンを使えるようになれば二人の世界もきっと広がるだろう。
二人が興味を示した所で、そう易々と購入出来る訳ではないだろうに、憧れだけでここまで盛り上がれるのだ。
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